
1964年10月24日 ― ザンビアが独立する
新しい名前と古い机
1964年10月24日、北ローデシアはザンビアとして独立しました。ルサカの架空の教師と子供が、昨日までの名前と明日から学ぶことを話す短編です。
ここからは、架空の人物による歴史短編です。
新しい名前を教える前に、チサは自分で一度口にした。ザンビア。口を動かせば言えるのに、黒板へ向かうつもりで立つと、胸の中に違う重さがあった。ルサカでは独立を祝う声が聞こえている。彼女は忘れ物を取りに学校へ寄ったところだった。
教室には一人の子がいた。家の人を待っているという。チサを見ると、もう授業なの、と聞いた。違うと答えると、子供は安心した顔をした。机の上には使いかけの帳面が開いている。チサが取りに来たものだった。新しいものを買い直すより、残ったページを使うつもりでいた。
子供は帳面を指さし、前の名前は間違いになるの、と尋ねた。チサはすぐ答えなかった。北ローデシアと呼ばれてきた土地が、独立したザンビアになる。昨日まで使った名を、何もなかったように消せばよいのか。子供にわかるように言おうとすると、自分がまだ考えていないところが見えた。
「前にそう呼ばれていた、と書ける」。チサが答えると、子供は、それなら両方覚えるの、と聞いた。覚えることが増えるのは嫌らしい。チサは笑った。国の新しい出発を祝う話の中にも、明日の勉強が難しくなるかを心配する子がいる。それが、この子の今いる場所なのだと思った。
チサ自身、子供のころは先生がすべて知っていると考えていた。教える側になってから、知らないことを隠さず、何を確かめればよいか示す方が難しいと知った。今日も同じだった。独立したから、すべてがすぐよくなると約束することはできない。教科書も机も、今日の午後に一斉に新しくなるわけではない。
外で誰かが子供の名を呼んだ。子供は立ち上がりかけ、鉛筆を落とした。チサが拾うより早く、自分で机の下へ入った。短い鉛筆を握って出てきたので、新しい名前を書くならもう少し長いものを渡したい気がした。だが、その鉛筆にもまだ書ける先が残っていた。
子供は、先生は来ないの、と言った。チサは帳面を閉じた。もちろん行く。教室に置いておく言葉と、外で人と交わす言葉は別々ではない。今日を祝う人の中にも、明日仕事を探す人や、学校で何を学べるか気にしている人がいるだろう。チサも、その一人だった。
戸を閉める前に、並んだ机を見た。新しい国の子供たちが座る席は、昨日の子供たちが座った席でもある。その続きを受け持つのだと思うと、大きすぎた言葉が少し自分の仕事に近づいた。チサは帳面を抱え、待っている子の方へ歩いた。新しい名前を、今度は二人で口にしてみた。
史実として確認できる部分
- ザンビアは1964年10月24日に独立した。[1・2]
- イギリスの保護領北ローデシアから、独立した共和国ザンビアへの移行だった。[2]
- 国連加盟は同年12月1日であり、独立日と同日ではない。[1]